僕を完璧な人間にしてくれ

僕を完璧な人間にしてくれ。
「僕を人間足らしめているものは君なんだ、伊佐。ペイパーカットのことを誰よりも知り、追いかける君はただ起きた現象を本物かどうかを正否するだけの僕とは違う」

ことの発端は伊佐の風邪だった。疲れからくる体調不良だと診断され、伊佐は暫くの間強制的に休まされることになる。

伊佐が不在の間でも千条にはやるべきことがある。ペイパーカットの調査とその処理。その関連事件は、幾度もこなしてきた千条にはただの業務としか思えないほどに慣れてしまった。対象者に保険金を渡したり、その現象はペイパーカットを調査したり。全て未解決にはならなかった。対象者との

距離を上手く取りつつ行っていたので問題は起きることはない。ペイパーカットと言われた現象も、総じて人為的に行われたもので不可思議な現象にはならなかった。有益な情報は得られないものの、仕事はきっちりこなす彼のことを気にするものはいない。
て。

伊佐と離れて仕事をしてから約一ヶ月が過ぎる。彼が休んでから最初の一週間はほぼ毎日ソーントン等の伊佐を知る人物に声をかけて様子を聞いていたが、仕事が



不審な人間に会った、いや、遭ったという方が正しい。



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