双六

 千条が伊佐の家に来ることになった。二人とも休みだが、どこかへ出かける気は失せた。今はあいにくの雨。梅雨のせいだろう。かれこれ3日は降っている。何時ものように小さな店へ歩きわたるのは難しいようだ。

 サーカムの施設入口、オフィス用の自販機と椅子があり、二人はホットコーヒーを飲む。

「折角退社後に泊まりでどこかへ行こうと思っていたけど、流石に雨の中での遠出は危ないからね。前の様に居酒屋に行くかい?先日どこかの番組で、朝の始発まで飲み明かすなんて企画が行われたそうだよ。飲み明かすのは伊佐の健康を考えると反対だけど、番組のスタッフが来たと言うことで今のあの飲み屋はちょっ前よりも行くのが楽しいかも知れない」

伊佐は窓を眺めつつ考える。

 千条が楽しんでくれるのなら、あの居酒屋に連れて行くのもいいが、雨の中ではタクシーがつかまりづらいことが心配なのだ。

「居酒屋に行くのもいいが、その場合飲酒は駄目だぞ。この雨ではタクシーの利用者が増える。帰るのが少し大変だ」

「雨の中で帰ると運転手は運転の速度を落とすし、それで帰るのが遅くなり、料金が晴れの時よりも増してしまうしね。僕だけならまだしも伊佐の財布の負担になるのはいけないね。こればかりはサーカムの支給では落とせない」

千条は顔こそ変えないが、溜め息をつきつつ残念そうに言う。

  伊佐はこのままではただ休みを寝たり書類を整理するだけになるだろうなと心の中で呟く。





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双六のルールは千条は知っているが、自由度が高いと判断し、人生ゲームをやることに。

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