ある男曰く

 ある警護をしていた男が彼女を最初に見た印象は、この人は人間だろうかという疑問だった。

 この男の本来の任務はある屋敷にいる人物の暗殺が目的である。今は上手く潜入し、警護をしている警官として隙を伺っている。

 彼女は常に最低でも二人、いやもう一人を含めれば三人によって守られている。二人は警官、もう一人は

「姉さん!」

彼女の弟である。

 勢いよく開けられてた戸は壊れてしまうのではないかと思ったが、なんとか壊れずに済んだ。


 もう一人の警官―伊佐という男、彼はどうやら彼女のお気に入りらしい。彼女を匿う者が不在の隙を狙って伊佐に色々と相手を頼んでいる。勿論、我々(潜入の為、一応仕事はしている)は彼女に個人的に接触するのは禁じられている。伊佐ももちろん分かってはいるはずだが、どういう訳かやや対応が甘い。 

 男には彼女に対して少しでも対応を優しくすることに共感が出来なかった。最初に見た時から人ならざる何かがあると感じたのだ。


「当てましょうか」

くすりと彼女は笑う。口はほとんど上がっていないのに、目だけで笑みを浮かべる。奇妙な笑みだった。

「貴方は……伊佐さんに嫉妬しているわね」

ウィンクして彼女は紙が落ちたところまで歩いて行った。

 言われた男は茫然としてしまった。



本書を読みなおして盗られた男の視点を考え直したいです。

 姉があの盗られた男と、伊佐の対応が異なることに関して男は違いに気づいていたけど、伊佐は気付いていない。行動そのものがまるっきり差が出ているというよりは(姉が他者にたいする行動は大抵愚弟により若干制限がかけれている当サイトの設定)、表情がほんの少し、表情ではなく、彼女が向ける目が伊佐に限っては何かが違うと、男は察する。その違いを警護しながら追い求めて、自分が抱いた姉への印象が畏怖から魅了に変わっていたら興味深い考察&妄想になるなと。

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